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小児科病棟で付き添いのお母さんが息抜きするヨガ

息子の入院も8-9回目(もう数えていません)先生の移動に伴い、今回はまた新しい病院です。建物も新しく、プレイルームの広いこと。おもちゃもたくさんあり、点滴につながれた子供たちも楽しそうに遊んでいます。午後になれば手術室に連れていかれ号泣することも予想だにせず・・。小さな心と体で頑張っています。

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でも、その子たちに付き添うお母さん。みんなまわりは見知らぬ人。昔のように社交的なおばちゃんが間を取り持つでもなく、比較的年齢の若いお母さんたちは、お互い会釈をするだけで、我が子一人自分一人で気を張っているのがわかります。なぜなら、誰とも話す話題がないからです。症状のことを話せば相手の症状のことも話してもらわざるを得ない。遠慮して口をつぐんしまっても何の不思議もありません。心を許しものをたずねられるのは唯一主治医の先生が頼りです。でもその先生とすらも、言葉を交わせるのはほんの一瞬なのです。

入院二日目ともなると、わたしのからだもさすがにガチガチになってきました。これはストレッチでもしないと身が持たない、と思いましたが、他のお母さんもいる広いプレイルームでひとりでヨガを始めたらぎょっとされるだろうな。。と思ったので、2013年今年最後ありったけの勇気をふりしぼって、一人のお母さんに声をかけてみました。
「ヨガってやったことありますか?」と。
すると「もう、体がかたくてかかたくて、考えたこともありませんでした」とのこと。
「私も体がかたいのにヨガの先生をしているんですけど、よかったら今一緒にやってみませんか」
ということで、私を含め4人のお母さんで、子供をそばで遊ばせながら簡単なヨガの時間を楽しみました。
自分で声をかけて「やりましょう」なんて言いだすのは、私でさえ一年分の勇気が要ったのですからいわんや普通のお母さんたちをやです。やっぱり病院側で、イベントとしてやってもらえるのが理想的、と思いました。

お互い見ず知らずの四人、硬い表情のお母さんたちの顔があっという間にほぐれ、お互いの笑顔にさらに笑顔になり、何より一番子供たちが嬉しそうでした。小学生の女の子たちはまねをして一緒にやってくれたポーズもありました。
「体がぽかぽかしてきた」というのがみなさん共通の感想。
「でも、汗だくにならないのがいい」
また、みなさんおっしゃっていたのが「入院三日目になると、疲れがどっとやってきて、笑顔もなくなるし、誰かに当たってしまう。」
無理なくできて、心が楽になったのは「子供のポーズ」だったようです。
病院ではもう運命を先生に任せるしかありません。でも、心の中のもう一人の自分は、我が子を自分が守んなきゃ、と気を張っているのです。流れに身を任せ、委ねる、ということはどこか他の国の言葉になってしまっています。

ほんの30分もないヨガの時間でしたが、こんなことをやりました。

わきをもむ。腕の前をゆるめる。足首を回す。膝のうらを揉む。首の前を揉む。鎖骨をさする。首をゆっくり回す。
簡単な鷲のポーズ(自分を抱きしめるポーズ)
子供のポーズ(少し胸を開く)
四つん這いになってCat & Cow → 子供のポーズ(心と体をゆるめる)
四つん這いで、肩と脇越しに片側のお尻をみるワギングテイル(しっぽふりふりわんちゃんのポーズ)
針の糸通しのポーズ(肩をストレッチ)
子供のポーズで腰に乗りあう(腰を伸ばす)
ひざを立てて座った状態で足を左右にパタパタと倒す(腰をゆるめる)
女の子座りをして手を大きく振る(水兵さんに手を振る人魚姫のポーズ)(脇を軽くひねる)
背中で腕を組んで深呼吸(いつもよりちょっと深い呼吸)
頭のうしろで腕を組んで深呼吸(腰椎の一番をゆるめる呼吸)
首の調整(階段を後ろに登ってみる:頭の位置を戻す)
片鼻呼吸法(緊張する気持ちを落ち着ける)

それぞれ子供たちが点滴に繋がれていたのでシャバアサナまではできませんでした。。
気をつけたのは、病院なのであまり大胆な動きをしない、ということ。犬のポーズや立位のポーズは控えました。
今回はプレイルームが広く、靴を脱いでくつろげた、という環境があったからですが、通常の談話室であれば椅子を使ってできるヨガになると思います。

私自身の心と体のガチガチはゆるみましたが、ヨガやりませんか?と声をかけるのはとても勇気が要りました。
でも、ヨガを通じてきっとできること。それは「お互い脅威のないかかわり合い」を持つことではないかと思います。ヨガでやることは実際たいしたことないのです。軽くからだを動かしているだけです。それでも「一緒にやった」という経験が、お互いの警戒心を解き、孤独感を癒してくれるのではないかと思います。その後退院するまで、お母さんたちと「どうだった?」とお互い声を掛け合い、これからもお互い頑張りましょうね、と言いあえたのは、ヨガをしなかった入院時より楽な経験でした。

強制的に、というのはよくないと思います。ただでさえ大変なお母さんが「なんでこんなことまでしなくちゃいけないの」というイベントは避けなくてはなりません。そこが難しいところだとは思うのですが、もしこのコラムを読んだ小児科病棟の看護婦さん、病院の総務の方々、http://medical-yoga.luna-works.com/contact.html より「うちの病棟でもやってみたい」というお問い合わせをいただければと思います。「付き添いのお母さんたち、いつもお疲れさまです」というゆるーい感じのヨガイベント企画のお手伝いをさせていただければと思います。
そして、もっと欲を言えば、いつも子供たちに優しく接してくださる看護婦さんのみなさんが息抜きができるヨガの時間もつくれたらいいのに、と思っています。


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