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東北でのリストラティブヨがプロジェクト

Aoさん(宮城県多賀城市)の被災地への方々へのリストラティブヨガのレポートをご紹介します。

(ここから)

心理学仲間と仮設にお住まいの方、震災後に独居暮らしをされている方々への心のボランティアを震災後から続けさせていただいております。

仲間達とは『日が経つ』からこその訪問する際の難しさを・・・
心のボランティアの難しさや問題などを話し合っております。

震災から日が経つごとに仮設にお住まいの方、独居暮らしの方々の問題は広がり、深くなっています。
もちろん、反対に震災時のつらさや苦しみを乗越えて、生活されている方々もおられます。

私たちは個々にできる範囲の力で、心と身体をケアするお手伝いをさせていただいております。
1人でも多くの方々の心も身体も『ゆるゆる』としていただけるように努めたいと願っています。

そこで、ケアの1つ『リストラティブ・ヨガ』を定期的に開催してはどうだろうと考えました。
リストラティブ・ヨガはPTSDの方には不向きだと考えられるヨガだろうとは分かっています。
でも思うように身体も動かせずにいる状況。やる気が湧かなくて、身体を動かしたくない方々。
それでも身体に生じる苦痛だけは取り除きたいと思っている方々。
そういった方々に、リストラティブ・ヨガはいいのではないだろうか?
しかし・・・
「開催したい」
「定期的に行いたい」
と願うのは『私たち側』の意見です。

リストラティブ・ヨガの持つ効果は確かに心にも身体にもよい影響があります。
しかし仮設にお住まいの方、震災後に独居暮らしをされている方の意見はどうだろうか?

何度も足を運ぶことで私たちを受け入れてくださった方々に、私たちの思いをお話してリストラティブ・ヨガを体験していただきました。
その後の感想もうかがい、定期的に体験していただき、
その感想をデータ化して本当にケアとして必要とされる活動となるのか。
リストラティブ・ヨガはケアとして必要性があるのか。
レポートにまとめたいとご相談しました。

この開催(レポート化するためのリストラティブ・ヨガの開催)は今後の単発、繰り返しの定期開催をする際の開催の危険性や必要性などをまとめさせていただくための実験的な開催です。

ボランティアとして皆さんにご提供させていただく1つの活動として必要性があるのか?
本当にケアとしてお役に立てるヨガなのか?

皆さんは私たちの趣旨をご理解くださって、ご協力くださることになりました。
皆さんの体験後の生の感想をアンケートをまとめて、お伝えしています。

皆さんを拘束することにもなりますし、皆さんにとっては苦痛となる時間となるかもしれません。
そのため全8回。90分のクラスとしました。※アンケート記入時間、雑談を時間に含まない。

今回は最後の8回目です。間もなく震災が起きてから3年。
ご協力くださる皆さまも複雑な気持ちを抱えて、落ち着きのない状態でした。

「延期をしますか?」
と提案させていただきましたが、皆さまこの開催の趣旨を理解くださって
「だからこそ、やりましょう。」
と言ってくださいました。

この実験的な開催にご協力くださったのは、20名(男性8名/女性12名)の仮設や震災のため独り暮らしとなった方々です。年齢は30歳半ば~80歳半ば。
PTSD、うつ、うつ症状を患っている方もおられます。

全8回、全部への参加はお願いしていません。
体験時の記録(写真。ビデオ撮影)は、ご協力くださる方々の希望もあり写しておりません。

2014.2.23(日) <8回目(90分)/全8回>

<参加人数>14名(男性5名/女性9名)年齢30歳半ば~70歳前半

<リストラティブ・ヨガ経験>
◆3~7回

<前回受けたリストラティブ・ヨガに関しての感想>
◆あの夜はぐっすりと眠れた
◆家に戻る時に身体が軽くて歩くのが楽だった
◆慣れてきたから不快感が減った
◆リラックスできた

<使用した道具>
ボルスター(丸ボルスター/角ボルスター)、ブランケット、ネックピロー、アイピロー、バスタオル、タオル類、ベルト他

<BGM>
クリスタルボウル生演奏

<ポーズ ※3~4ポーズ>
自ら望んで受けていただく開催ではないこと。
知っているポーズをとることで安心していただくため、開催中は同じポーズ(順不同あり)で行っています。

◆壁の脚上げ
◆チャイルド
◆バウンドアングル
◆シャヴァ・アーサナ ※うつ伏せ、横向き可

<アンケート集計抜粋>
Q1.体験後の感想

◆少しは力が抜けるようになってきた。
◆背中も腰も硬くて苦しかったから、楽になりました。
◆寒い日が続いたからね。腰が縮こまっちゃって(腰が固まっていたのが)、伸びたよ。
◆まだまだ力が抜けない、緊張する。
◆脚のしびれがとれたよ。
◆チャイルドのときに心がやっぱり苦しくなるね。

Q2.今回で8回の開催が終わりますが、また体験したいと思うか否か。

YES>>4名
NO>>>14名

<NOの理由>
◆開催する人との信頼感かな。あんたたちだったらやるよ。※多数意見有り
◆やっぱり心が苦しくなるからね。
◆気持ちはいいけどね、家でもジッとするしかなくて、ここでもジッとするのはやっぱり抵抗があるかな。
◆実験だっていう、役に立ってる感じだったからね。今までの恩返しっていうのかな。でも自分のためにはね。
◆動くほうが好きだね。動きたいね。

Q3.体験後の身体の変化を感じられましたか?

YES>>15名
NO>>>3名

<NOの方のご意見>
◆身体の緊張が抜けなくて。今日はまだ固まったまま。間もなくだからかな。最近は眠れないんだよ。
◆3年目だって頭から抜けなくてね。
◆苦痛だったなー。今日はそれだけだった。

身体の変化を感じられた方々は、雪かきや寒い日が続いたので、身体がガチガチに固まっていて、伸びた感じがした、楽になった、軽くなった、呼吸が楽になったと感じられていました。

Q4.心の変化は感じられましたか? 今回だけではなく、この8回を通してのお答えでも構いません。

◆いつも終わった後は心も軽くなった感じがするの。その時はね。
◆今日は身体は楽になったけど、心はね。窮屈かな。
◆最初は苦痛だったな。今は終わった後の軽い感じが心も軽くするからね。前向きになってきたかな。
◆身体の力を抜くのも大変だけど、心の固さっていうの?とれないね。
◆重いものがね、身体から離れないねー。それをより感じるよ。それは変わらなかったよ、何回やっても。

※重複するような意見多数あり

Q5.その他のご意見、ご感想などありましたらよろしくお願いします。8回を通してのご意見もありましたら、お願いします。

◆初めてのときは、本当にジッとしているのが苦痛だったけど、今は終わった後のスッキリ感を知っているから、機会があったらやりたいです。
◆身体は楽になるけれど、動くヨガのほうが気持ちがいいな。※多数意見有り
◆身体の力が抜けるように協力してくれるでしょう?申し訳なくて、ガマンする方がましだなって思うよ。慣れないんだね。人に迷惑かけるから。
◆回ごとに気持ちがいい時とやだなーっていう時とあったよ。
◆呼吸が楽になるね。不思議だよ。

<私たちの感想>

震災に直面して、今もまだ大変な生活をされている方々。狭い荷物に囲まれた仮の生活。広いお家や何もないアパートの部屋でお独りで生活されている方々。
不安な生活や不安定な心はなおも続きます。
そんな皆さまにご協力いただいて、全8回のリストラティブ・ヨガを無事に終了することが出来ました。

先ずはご協力くださった方々の勇気に感謝しています。自らの心と向き合うことになるかもしれません。と一番最初に行う時にご説明しました。
その上でご体験いただき、これを8回定期的に行ってレポート化したいと相談しました。
体験した後の皆さまの『涙』を忘れられません。お1人お1人とお話をして、お気持ちをうかがいました。
その上で、皆さまはご協力くださいました。
苦痛になるかもしれない。楽になるかもしれない。
これは実験です、賭けですと言いました。
この勇気に感謝します。

リストラティブ・ヨガが必要か、必要ではないのか。
もちろん、必要です。
特別な背景を抱えた方々に必要か否か。

私たちの意見をまとめて、本当に特別な背景を抱えた方々、特別な心の傷を抱えた方々と行うこのヨガは『必要性があるのか否か』また『注意点』などまとめたいと思っています。

目を通してくださった皆さま、ありがとうございます。
皆さまはどう感じられますか?
必要性があると思われますか?
必要性はないと思われますか?
必要とする場合の注意点はどうでしょうか?

答えは人の数だけ存在すると思います。どの答えも間違いではないと思います。
対する方々の心に寄り添ッた上での答えを1人1人が出せるといいなと感じています。

私たちも皆で話し合い、PTSD向けのヨガとあわせて、チームの答えをまとめる予定です。
別途発信いたします。

***************

開催するたびに道具が増えました。各専門のアイテムは心地よく身体を支えて、ゆったりとポーズに入っていただくことができました。
代用品も上手に使用すれば役立ってくれますが、専門の道具は安心感、安定感があります。

脚の力が抜けるからとベルトを使用しませんか?とおススメしましたが、最初は抵抗を感じる方も多かったです。でも回を重ねて使用する度に楽になることを体感して、使われる方も増えました。

目を閉じるのが怖いからと目を開けている方に、アイピローをおススメして、香りや重みで顔の強張りがとれた方、安眠できるようになった方もいらっしゃいました。

ストレートネックの方、背骨が歪んでいる方が多く、ネックピローは仰向けの時にとても楽だと必需品になっています。

Tomoko Kawaharaさんの『Breathe for Peace(B4P)』(www.facebook.com./Breath4Peace)活動を通して、皆さまがご寄付くださったご支援のお気持ちで、これまでボルスター、ブランケット、アイピロー、ネックピロー、ベルトを購入させていただきました。

Tomokoさん以外にも多くの仲間、仲間のご友人、そしてFBの投稿から活動を知り、ご支援をくださった方々、今もご支援をお申し出くださる方がおります。
ヨガマット、ブランケット、ベルト、アイピローのご支援を本当に感謝しています。

本当に皆さま、ありがとうございます。

全8回の実験的なリストラティブ・ヨガは終了しますが、望まれている方々へのリストラティブ・ヨガは今も、これからも行っていきます。
震災に直面した方々の心の復興は平等ではありません。
すでに前を向き、リストラティブ・ヨガも大好きだから行いたいという方ももちろんいらっしゃいます。

これからも1人でも多くの方に心の底から『ゆるゆる』していだだけるように、身体と心のケアをさせていただきたいと想っております。

(岡部コメント)

考えてしまうと、それが正しいのか間違っているのかばかり考えてしまうようにできているのが人の脳。目尻が下がった相手の顔を見れば、理屈抜きに癒されるのも人の脳。都会でも地方でも、認知症三悪といわれるのが「疲労/退屈/孤独」リストラティブヨガは疲労をとり、退屈を感じる間を与えず、孤独、そりゃ層です、人は一人で生まれ一人で死んでいく、という事実に直面させることで、絆や人の温かさを再認識させる。三悪への逆刺激です。東北でこの取り組みがいかに意義があるか。Aoさん、ありがとう!


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