メディカルヨガコラム

コラム記事カテゴリー

症例別ヨガの処方箋

ヨガ×スポーツ

ヨガが役立つ未来

ヨガの素敵なお話

ヨガはやさしいリハビリ

リストラティブヨガ

オンライン講座 好きな時に学べるヨガセラピー

メディカルヨガ公式サイト

ヨガはやさしいリハビリ

変容の瞬間

米国でのヨガ研修(がんと慢性疾患のためのヨガセラピー)、朝5時起床、21時過ぎまでのクラスの連続で、さすがの私も少し疲れが見え始めていました。
元気そうに振る舞ってはいましたが、表情にでていたのでしょう。

ヨガスートラ Book 1-33章には次のように書かれています。と、ちょうど授業で習ったところでした。

穏やかでいるコツ?それは、人に深切にすることさ。相手もよろこぶだろ。不幸せそうな人がいたら、同情してあげないと。同じ人間だもの。謙虚に学び、自分の徳を磨くのさ。意地悪な人がいたら、中立的な立場で接することさ。(*意訳:岡部 朋子)

YogaVille やここで学ぶ人たちは怒ることがないのかなーというぐらいいつも心穏やかです。

夜9時に授業が終わったあと、クラスメイトのひとりCindy(シンディ)が、トモコ、大丈夫?疲れているんでしょう?顔色が悪い、と声をかけてくれました。
その一声で、私は自分が疲れていることを肯定でき(それまでは、疲れていない、自分は大丈夫だ、と自分に言い聞かせていたのでした)、そしてCindyだけでなく、Jnani先生も私を心配してくれているのだ、ということを察することができました。少し貧血気味だ、ということにも気づいていたのですが、やり過ごしていた私も、翌日売店で「Blood Builder」というサプリメントを買い、飲み始めました。クラスメイトが私を思いやって書けてくれたその一言で、私の中に自分を大事にしよう、という変化が起こったのです。

上記のヨガスートラの一節ですが、人に対して優しくできること、同情できること、いい人でいようと努力すること、などの大切さを、大人になってからですら自らに問い続ける学び、それが多くの大人がヨガを学び始める理由のひとつかもしれないと思いました。

自分に余裕がないと、実際人に優しくしたり、同情したり、いい人でいたりすることはできません。ヨガでは、瞑想をしたり、ゆっくりとした呼吸をすることによって、余分なものを取り除き、自分の中にある清らかなものだけを残し、ちゃんと優しさを行使できるようにしてくれる。実はそれは、本質的に人間社会にとって必要なものであって、ダライラマ師が「世界中の8歳の子がみんな瞑想を学校で学ぶようになれば、その子たちの時代には平和な社会が訪れるだろう」とおっしゃったのはあながちうそではない、と思います。

もうひとつ、このスートラの説明で、Jnani先生があげた例にドキッとしましたが・・。
よく街中で見かけるのは、お母さんが子供の腕を引っ張って「ほら遅れるから急ぎなさい!」と子供は大泣き、そんなときに「あらあら可哀想に、ひどいお母さんね」と声を掛けるか、「お母さんも坊やも大変ね」と声を掛けるかで、そのあとの世界は大違いだ。というものでした。Compassion と正義について考えさせられるエピソードでした。私たちに必要なものは、正義ではなく、思いやりであり、正義を裁くのは神様に任せておけばいいのに、ついつい私たちは浅はかな正義を振りかざし、目の前の人への思いやりは忘れてしまいます。

*) Source: Sanskrit transliteration from The Yoga Sutras of Patanjali (Sri Swami Satchidananda)
MAITRI KARUNA MUDITOPEKSANAM SUKHA DUHKHA PUNYAPUNYA VISAYANAM BHAVANATAS CITTA PRASADANAM.

*) Source: English translation from The Yoga Sutras of Patanjali (Sri Swami Satchidananda)
By cultivating attitudes of friendliness toward the happy, compassion for the unhappy, delight in the virtuous, and disregard toward the wicked, the mind-stuff retains its undisturbed calmness.


ページのトップ