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「いる」を大切にする、と言われても

私のクラスではヨガのポーズを意味する「アーサナ」の語源は「する(Do)」ではなく「いる(Be)」なのだというお話をよくします。でも、そう言われても、抽象的すぎて実感が湧かないと思います。

ためしに、少し膝と膝の間を開いた正座の姿勢から、上半身を床に委ね、たたんだブランケットか枕の上におでこをあずけ、ただ呼吸をしてみましょう。あるいは、枕の上に片耳を乗せ、身体はお腹の中にいる赤ちゃんのように小さく丸めて、ゆっくり呼吸をしてみましょう。

この実験をするときにコツは、ひたすら疲れないようにすることです。とにかくただ「いて」楽な姿勢で、過ごしてみるのです。

だんだん「自分はいったい何をやっているんだろう」という気持ちになってきます。次第に、自分は「みごとなまでに何もしていない」ということが実感としてわかってきます。そこでもう少しだけ、頑張って何もしないでみていただきたいのです。そうすると「別に何もしなくても生きていられるんだ」ということがわかってきます。自分が何一つしていないくてもちゃんと存在していること、その事実を確認する時間、これが瞑想の第一歩です。頭から雑念を消すとか、難しく考えなくて大丈夫です。自分は「存在しかしていない存在だ」という、一見禅問答のようなことを確認する時間をわざわざつくる、それがヨガの企みでもあります。

「する」ことをしないと不安で仕方がない間は、病気や子育て、更年期や介護などで何もできなくなってしまうと、自分という人間の価値がなくなってしまったように感じてしまうものです。でも、人生には、何もできなくなってしまう時期もあるのです。そんなときにヨガが救いになるのは「何もしなくても、大丈夫私には命がある」という至極基本的なことをしっかり肯定するきっかけを、ぽっかり自分と向き合う時間がもたらしてくれるのです。

人は、何かしているときは夢中でゆっくりものを考えたり気づいたりすることができないようです。
ぽっかり時間が空いて、さらに身体が楽チンなときに、いつもは考えつかなかったようなアイデアがやってきたり、気持ちの整理ができたりするものです。
だから、どちらかというと、ポーズで埋め尽くされたヨガのクラスよりも、少し休憩してみましょう、という時間が長いクラス、長い先生の方がお勧めです。


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