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自由になって仲良く生きよう:省エネモード

なんで多くの人が一度ヨガを始めるとやめられないのでしょうか?
中毒性があるのでしょうか?

 

【瞳をとじて、リラックスにもいろいろ】〜 せっかくなら、脳が休みやすい状態で

 

ヨガには他のエクササイズにはないデザートがついていると言われています。
それがシャバアサナとよばれる最後のリラクセーションです。
マットの上に、ただ仰向けになり、瞼を閉じるだけのポーズです。

 

体を動かした後に、ちゃんと休める。
それだけでも、バランスが取れています。
でも「体を動かしたくない」「疲れている」「心の方が参っていて、運動どころではない」という方には、ポーズ + シャバアサナ(仰向けの休息)の代わりに、瞑想やリストラティブヨガをお勧めします。だけど、瞑想は簡単なものではありません。背骨を立てた状態で目を閉じても、私たちの脳はすぐには考えることをやめてはくれないからです。リストラティブヨガの特徴は、体を道具に預けることで、背骨を重力の負担(垂直方向)から解放し、脳が休息しやすい状態で行うことです。

 

【私たちは自由ではないの?】

 

私たちは自由なつもりでいても、本当は多くのことで自分で自分を縛っています。それは、生まれてから今日まで生きてくる中、様々な先入観や癖が身につき、多くの「ねばならない」で考え方や行動を制約しているからです。皆さんはどれだけ他人に対して(次のような言葉遣いでないにしても)「@@@してください」「@@@であるべきでしょう」「@@@@であって当然だ」と思っているでしょうか。あるいは、自分に対しこうあるべきだ、私の良心がこう言っている、私の価値観はこうだ、と無意識の枠組みを作ってしまっていないでしょうか。

人にこう思われたらまずいから、や、相手が心配するから、というのは社会においてとても大切な感情ですが、そればかりになってしまうと自分が本当にしたいことがわからなくなります。

 

そもそも私たちの脳は損得感情や評価判断が大好きです。だけど本当はそれ以上に「理屈抜きで大好きだ!」「訳もなく幸せだ!」が大好きなのです。だけど「ねばならない」ばかりで暮らしていると、いつも理屈が勝ってしまうようになります。

 

【脳の整理整頓の習慣を】

ヨガのシャバアサナや、リストラティブヨガ、瞑想などで行っていることは、脳の整理整頓です。

私たちの脳は体重の2%の重さしかなありません。その軽さで私たちが吸収したエネルギーの、実に20%を必要としていると言われています。つまり、とても燃料を食うパーツなのです。
その20%のうち、私たちが一生懸命ものを考えたり、理屈をこねくり回したり、つまり覚醒しているときに使われるエネルギーは、全体の5%だといわれています。そして、20%は維持修復に使われます。では、残りの75%は一体何に使われているのでしょうか?

この75%は脳が無意識の状態に使われるエネルギーなのだそうです。
無意識のときにこそ、脳はエネルギーを猛烈に使って仕事をしています。
どんな仕事か。
整理整頓、断捨離です。
パラドックスに思えるかもしれませんが、休んでいるときに脳は仕事をします。
だけど私たちは、休むということにとても罪悪感を抱くように教育されてきました。
働くことの美徳が尊重されますが、それと同じぐらい休むことにも価値がある、そのことはあまりインプットされてきません。

よく働くためには、よく休んで英気を養わなくてはならないのに、です。

ヨガで最後に仰向けになって休んだり、リストラティブヨガをしたり、瞑想をしたりするのは、いわば「脳に積極的休養を取らせよう」作戦だともいえます。

私たちの脳は、携帯電話やパソコンやテレビにさらされ過ぎていて、脳がぼーっとする時間がありません。

 

【積極的休養という治療】

 

脳を休ませることで状況が良くなるかもしれない人はたくさんいます。
それでは、ぼーっとしながら脳を休める時間はどうやったら作れるのでしょうか。

脳が体から、警戒を解いて、ぼーっとしていいよ、指令をもらったときです。
体を自分の意思で維持しておかなくてはならないときは、ガードを解けません。
私たちの脳は身を守るために外界から様々な情報を仕入れ、情報処理を行い、反応します。自分の存在を脅かすもの、そうでないものを仕分け、受け入れるか否かの判断をしているのです。これは疲れる工程です。そして、私たちは疲れすぎると神経過敏になります。

現代人の不幸は、テクノロジーによって、自分たちが処理しきれないほどの情報に私たちをさらすようになってきたことにあります。私たちは冒頭に述べたように、背骨を重力に対し垂直にし、脳が覚醒モードにあるときや、忙しくしているときは、脳はより効率的な答えをも求め、情報処理モードにいるのです。この情報処理モードから抜け出るにはどうしたらいいのでしょうか。

 

(1)まず、自力で体制を保たなくても体が崩れない、つまりサポートされている状態を作ります。具体的には、重力にゆだねるだけで体がしっかり支えられている状態、地面と体の間が埋められている状態です。

(2)そのときに大切なのは、人間が快適にいられるために神経が滞りなく機能するための自然なS字カーブが崩れていないことです。これは立位や座位の姿勢ではとても難しいことです。背骨が立った状態では、自力でバランスを取らねば、という力が働いてしまうからです。

(3)体を横たえることで、背骨にかかる重力の負担を低減させることができます。これにはもう一つの狙いがあります。それはRASと呼ばれる情報の門番のシャットダウンです。背骨を地面に対し45度以下にすることで、情報の門番はシャッターを下ろします。すると、体が送る運動神経刺激は減り、脳は休んでいいぞ、というメッセージを受け取るのです。

リストラティブヨガは強制的に脳に休養モードをセットアップし、あとは休んだ脳に仕事をさせているのです。
リストラティブとは再生の、という意味です。
私たち現代人は、休日も車にDVDを積んで出かけるようになってしまいました。
休めなくなっているのです。
でも、休まないことは不自然なことです。
ちゃんと休み、体が自然に戻れば、回復しようとするのです。

 

【モチベーションではなくセンセーションのある毎日を】

私たちのものと元の心と体には希望センサーが備わっているのです。
リストラティブヨガは、私たちを元気にし、センセーションを蘇らせてくれます。これはモチベーションとは異なります。モチベーションは私たちを元気づけるように見えますが、煽り、疲れさせます。モチベーションを上げるヨガではないのです。真のクリエイティビティとは内側から湧き上がるものです。必要な変化も、外側ではなく内側から起こります。

 

【お金をかけずに省エネモード】

何よりいいのは、休むだけのリストラティブヨガはお金がかからないということです。
全身が省エネモードに入ります。
省エネモードにはどんな良さがあるのでしょうか。
筋肉が休み、内臓がしっかり本来の仕事、つまりデトックスをすることができれば、体が回復します。しかし、心の面でも心が本来の仕事をできるのです。

 

【心の本来の仕事とは?ありのままの今の自分の存在を赦すこと】

私たちは忙しすぎて、自分の恥や、避けたいことは見ないようにします。
だから、自分を許し、ありのままの自分を愛してあげる時間がありません。

ありのままの自分ではなく、自分がしたことや自分が持っているもので、一喜一憂してしまいます。
自分が価値があるのは、自分が何かすることや (DO) 自分が持っているもの(HAVE) のためではありません。
いる(BE) からです。もっと言えば、生きているだけでも私たちには価値があることのです。皆さんが生まれたとき、皆さんのご両親は喜んだはずです。

自分が何をしたか、何持っているか、ということを考えることを一旦中止し、
いるだけでしかない自分を優しく見つめられるようになれば、人のことをも優しく見つめられるようになります。人からの評価からも自由になります。
わたしって、仕方のない人ね、と思っても、それでも自分のことを大好きでいられます。
わたしって仕方のない人ね、だけど、生きているだけで儲けもんだから、楽しく生きなちゃもったいないわよね、と思えるかもしれません。

再生する、ということは、私たちが元の元気な姿に戻る、ということです。
いかなる不幸においても孤独というものは一番の敵です。私たちに選択肢があるということを忘れさせてしまいます。
愛され認められ、歓迎され、包まれていれば、私たちは頑張れるのです。


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