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精神腫瘍科の大西先生のご講演より:2016年市民公開講座

乳がんとヨガをご紹介させていただいた2016年の市民公開講座にて、埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 教授の大西 秀樹先生のご講演を拝聴いたしました。

30代前半で乳がんにかかり、再発された女性が先生に語ったこと。

再発するまでは、どこまでもがんと闘うつもりだった。
完治できないことは、敗けることだと思った。

だけど、再発して、落ち込んで気がついたこと。
がんに負けることは、自分の人生に、無気力、無関心、希望を持てないことだと思った。
だとしたら、私はまだ、心まではがんに侵されてはいない!

私には、大切な人と、大切に過ごせる時間があるから。
(エピソード)
息子さんが、お祭りでおみくじを引いたそうです。目の前には景品のポケモンのシールが。だけど、息子さんはお母さんのために、シールではなく、景品に化粧ポーチを選び、プレゼントしてくれたのだそうです。
その患者さんは「折れた心って、再生するのね」と先生におっしゃったそうです。

先生のご講演の中に「心的外傷後成長」という言葉がでてきました。
大きなショックな出来事の後、世界感が崩壊し、苦悩、もがきを、家族や友人、医療者の皆に支えてもらう経験を経て、ポジティブな心理的変容の体験が起こること。人生への感謝、人間としての成長を得られること、をいうのだそうです。

講演を聞いて思いました。

自分の人生に、無気力、無関心、希望が持てなくなることは、がんの患者さんに限ったことではないかもしれません。

病気になり、同じことを延々と考えてしまうことはエネルギーを消耗します。ヨガで違う考え方を始めるきっかけを作ります。それは自分との対話から始まります。
ヨガは安全地帯としての役割も果たします。安全、安心であるという感覚は、辛さを緩和します。
病気になったとしても病気になる前と変わらず、愛されていること 受け入れられていること、さまざまな感情を理解してもらえるのだということ。本音を言い合えるのだということ。何かを笑えること。食事を美味しいと思えること。触れてもらえること。励ましてもらえること。それらを確認できるとしたら。

音楽や自然、芸術に触れ、まだまだ人生が豊かになるということ。
自分を信じ、必要としてくれている人がいるということ。
時々ユーモアを忘れないで居られること。
それらをを再認識する、ヨガはきっかけになることでしょう。
これは合わせ鏡である家族に取ってもきっと同じことではないでしょうか。

ヨガで周りを見回す余裕ができれば、自分にたくさんの応援団がいることに気づかせてくれる。
運動療法や心のケアという枠を超えた可能性があるように思います。

もう一つ、心強く感じたことがあります。
公開講座の控え室で、埼玉乳がん臨床研究グループの先生方から色々なお話を聞くことができました。
先生方は、患者さんにこうおっしゃるそうです。
「何か運動している?」そうすると「ヨガ」や「太極拳」などと答える患者さんが増えてきているとのことです。
すると、先生はこうおっしゃるそうです。
「いいね!その運動、続けてね、やめないでね!」

ヨガを続けやすい運動として提案していく努力が私たちに必要とされていると感じました。


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