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心臓リハビリテーションとヨガ

こちらの記事をご参照ください。

【ヨガで心臓病患者の生活の質が向上―スウェーデン研究心拍数や血圧も低下】
http://kenko100.jp/articles/160323003842/#gsc.tab=0

一方、心臓のリハビリにヨガができることについて、榊原記念病院の長山雅俊先生のご著書「心臓が危ない」の第5章にたくさんのヒントがあります。興味のある方は是非読んでみてください。

心臓の病気の治療法は、現代医学の進歩に伴い著しい進歩を遂げています。
しかし、これまでの治療法では急性期の治療が終わった後のことは考えられてませんでした。

榊原記念病院の創立者の榊原仟先生が提唱された「心臓リハビリテーション」という概念は、すでに25年以上の歴史があります。

命を救われた患者さんが社会復帰にこぎつけるのは想像以上に大変です。なぜなら、またいつ再発するかわからない不安を抱えているからです。今日では、しっかりとしたリハビリテーションを通じ、社会復帰とともに再発を防いでいくことが、循環器医療のもう一つの役割と考えられています。

現在の運動の中心は、歩行と自転車漕ぎです。胸の痛み、不整脈や心不全などの発作が起こることもあり得るため、医師の監視付きで行われ、救急設備も備えられた環境で行われます。

病気をした後、体力が回復してもなかなか気力が回復しない状態をディコンディショニング(脱調節状態)といいます。
心臓病は他の病気に比べ、そうした状態になりやすいという特徴があります。自分は大切な心臓をやられたんだ、というプレッシャーから情緒不安定になったり鬱状態になる方も少なくありません。今度再発したらどうしよう、家族はどうしようという恐怖感、不安感に苛まれます。

治療が完璧に終わって、退院できたにもかかわらず、たの病気のような開放感がない、というのが心臓病の特徴です。
術後も患者さんにかなりのストレスがかかっているということです。

従って病後のコンディショニングが非常に重要になってきます。
(これは、再発のリスクがあるがんも同じかと思います)

逆に、社会復帰しても大丈夫なんだ、いい機会だからタバコをやめよう、痩せよう、ストレスを溜めないようにしよう、と色々前向きに考えさえすれば、心臓病ほど元気を取り戻すことができる病気はないかもしれません。

アメリカNIHによる心臓リハビリテーションの定義では、医学的根拠が第一だということが謳われています。
まず、体の状態や生活習慣を徹底的に調べます。それにもとづき、運動負荷試験を行い、長期的な運動処方を行なっていくことになります。最終目的は再発を防ぎ、患者さんに生きるための自信を持ってもらう、ということです。

心臓リハビリテーションは、医師や看護師だけではできないといわれています。
様々な専門家がチームを組んで、生活習慣や精神面、運動療法を支えていきます。

心臓リハビリテーションで大切になってくるのが、無理のない有酸素運動と、筋肉をつけることです。特に、かかとを上げ下げし、第二の心臓と呼ばれるふくらはぎを鍛える運動はとても大切とされています。ヨガでも、ふくらはぎを収縮する動きはたくさんありますね。しかし、いきなりヨガスタジオで行っているハードなヨガから始めるのはお勧めしません。

運動をすること自体の不安を払拭することも、心臓リハビリでは大切なことです。
なぜなら、手術した方はほとんどが不安を抱えているからです。
これをしてはいけません、ではなく、どこまでやったら大丈夫なのか。
これは、メディカルヨガで行う「できること探し」と同じです。

一言で心臓病といってもいろいろな人がいます。若い方も、高齢の方も様々です。
一番効率的なリハビリテーションは、ご自身で自分の体を判断できるようになることです。
ヨガでも、自分で自分の体や呼吸を観察し、向き合うプロセスを大切にしています。

心臓リハビリテーションで行うことは3つあるそうです。
一つは運動療法。もう一つは集団講義などによる学習、三つ目がカウンセリングです。特に3つ目は、体のリハビリだけではなく、自分の気持ちを打ち明け、整理することにより、溜め込まず、鬱になるのを防ぐ目的があるそうです。

心臓の悪い人にとって、適切な運動強度は、最大運動能力の40-60%、軽く息が弾み、うっすら汗をかくぐらい。これはまさに穏やかなヨガで行うぐらいの運動強度です。よく「運動をしながら会話ができる程度」と説明されることがありますが、長山先生は「運動を続けてれば元気になりそうな予感がする」という強度という素敵な表現に置き換えています。私もシニアヨガのクラスでは「ニコニコペース」と説明しています。

再発を怖がってこれからの一生をビクビク暮らすのではなく、どこまでやっても自分は大丈夫なのかを自分自身で探るプロセスを経ながら、前向きな人生を作っていく、それがリハビリテーションの目的だと、長山先生はおっしゃっています。

心臓リハビリテーションによって、心臓病でありながら運動能力が保たれている人は、健康で運動していない人よりも長生きできるという報告があるそうです。

アクティブレジャーという概念があります。
健康のための運動は、楽しくなければ続かない、という考えがあります。楽しい運動をしながら健康づくりにも役にたつ取り組み、という概念です。気持ちの良いヨガも楽しんで参加し、続けられれば、アクティブレジャーの一つになりえます。

リハビリテーションでもう一つ大切なことは「継続すること」と言われています。
ヨガとヨガセラピーの違いも、体験と、体験 + 継続、の違いです。
続けるためには、無理なく続けられることが大切であり、気分が乗らないときは無理やり行わないでいいということを知っておくことも大切です。

長山先生は、もう一つ大切なご指摘をされています。
心臓リハビリテーションが普及するための一番のハードルは何か、というと、実施するスタッフや場所がない、ということではないということです。それは、現代医学が専門化し過ぎてしまい、患者さんの気持ちや本当に必要としていることに気づきにくくなってしまっているからだとご指摘されています。患者さんやご家族の立場になって考えれば、このまま寝たきりや引きこもりになってしまうのではないか、弱気のままなのじゃないか、という状態から、どうやって早く安全に元気にしてあげることができるか。そのためにはリハビリテーションを必須の治療の一つ、と本気で考えること、それが大切だとおっしゃっています。

最先端の医療、手術や薬物療法も含め、急性期の治療だけでは元気になることは限界があり、再発を予防することもできません。急性期に必要な治療を行い、さらに心臓リハビリテーションを行うことで、本当の意味で治療が完結すると長山先生はご指摘されています。

私自身がアメリカでヨガセラピーを学び始めた頃、数え切れず教え込まれたのが心臓病の医師「ディーン・オーニッシュ医師の心臓病プログラム」の功績です。
https://www.ted.com/talks/dean_ornish_on_healing?language=ja
民間の保険会社まで、ヨガを保険の対象にしました。アメリカでは心臓病は死因のトップだからです。私自身はこれまで、がんの患者さんのリハビリとしてのヨガについての活動に力を入れてきましたが、この度縁あって、心循環器の病院の方々ともメディカルヨガに取り組んでいけそうな機会に恵まれております。

心臓リハビリテーションとヨガのことを考えるにつけ、根っこのところでは、がんの方のためのヨガともつながっていることを感じます。一方で、心臓病という特殊な症例について、より工夫を重ね提案していけることもあるように感じています。

メディカルヨガチーム:心臓病に興味をお持ちの方は、岡部までご連絡をいただけるようですと幸いです。
ディコンディショニング、キーワードですね。
ぜひ長山先生の「心臓が危ない」の第5章を読んでみてください。

また、がん患者さん向けのヨガのポーズですが、心臓病の方にも無理なく行っていただけます。
ご自由にダウンロードしてお使いください。
http://breastcancer-yoga.luna-works.com/archives/1359


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