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ヨガセラピストという新しい職業、新たな学び

今年1月全米ヨガアライアンス(Yoga Alliance) は、協会の掲げる基準の範疇に「ヨガセラピー」は入っていない、つまりヨガアライアンスの資格のみで「ヨガセラピスト」と表記してはならない、との発表をしました。
(https://www.yogaalliance.org/YogaTherapyPolicy)

全米ヨガアライアンスが育成するのは「ヨガティーチャー」であり、「ヨガセラピスト」ではない点、ヒーリング等、診断や治療としての意図を持つ指導についての言及は制限するようにとの通達が出ています。
背景として、セラピーとしてのヨガの専門的知識を持たず症状を抱える方への指導にあたり有害事象を起こしている事例が多くあったそうです。

一方で、国際ヨガセラピスト協会(International Association of Yoga Therapists )が本格的に 認定機関としての活動を開始し、基準合格した学校やヨガセラピストの社会的役割の明確化に動き始めました。(IAYT Accreditated School / 認定ヨガセラピストC-IATY)

中でもIAYTが力を入れているのが、高い倫理意識の維持と継続学習です。
ヨガセラピーを「古代から受け継がれてきたヨガの思想や実践を、現代社会における個々人の健康問題の解決・健康的な生活を目的としたヨガの手法」と定義し、年二回のカンファレンスでセラピーとしてのヨガの手法、導入事例、臨床研究、有害事象の把握、ヨガセラピーにおける課題などを世界中から集まったヨガセラピストたちで共有します。

ヨガセラピーは病気を抱えた人だけのものではありません。
現代社会においては、一見健康そうに見える人も多かれ少なかれ、心や体に症状を抱えていない方は少ないのではないでしょうか。
中には、怪我や病気、重い症状と闘っている人、通院治療中や経過観察中の方もいると思います。

ヨガとヨガセラピーにおいて、ヨガは本質的にセラピー的要素を内包しています。しかしながら、どんな食べ物も安全ではないように、ヨガを伝えるにあたっては、とくにリスクの高い状態にある方に対しては、ヨガのやり方を慎重にサポートする必要があるのです。ヨガセラピーの学びとは正しくヨガを教えることや上手に教えることだけではなく、それに加え「寄り添ってサポートする」心構え、そして方法論を学ぶことです。

それによって、明らかに病気を抱えた人にももちろんのこと、自分では気がついていないけれど少しストレスアウトした人や、病気は抱えていないけど心を痛めているご家族、医療や介護の現場で働かれている方々ご自身も、ヨガをすることによって元気を取り戻し、また今日という1日を大切に生きていく原動力としていただけるのではないかと思っています。

ヨガアライアンスがこのような声明を出した以上、ヨガセラピストはヨガセラピストとしての専門的な学びを得なくてはならないことが明らかになりました。そして世界各地で学びの場が作られつつあります。ルナワークスも学びの場を目指してきました。
ルナワークスはIAYT国際ヨガセラピスト協会の日本で初めてのメンバースクールです。また私自身も全米ヨガアライアンスE-RYT500であるとともに2016年、C-IAYT(国際ヨガセラピスト協会認定ヨガセラピスト)として認定をいただきました。

ヨガアライアンスからは「ヨガセラピー」という言葉は排されましたが、それぞれのプロフェッショナリズムにおいて線引きをする姿勢はさすがアメリカと思います。アメリカでもヨガセラピーという言葉の元、医療とヨガに橋が架けられつつあります。今後の取り組みとして、日本でもヨガセラピーを通じ、医療とヨガをつないでいきたいと思っています。

西洋医学と東洋医学に橋をかけることは容易ではありません。
なぜなら、お互いの立ち位置も歴史も全く異なるからです。相手を認めることは自らを否定することになるからです。
つまり、無理に繋ごうとすることは無理があるのです。繋ぐことができる唯一の方法は、相手の得意分野を尊重し、助け合い補い合える部分で協力し合う方法を模索することでしかないのではと考えています。

ストレスにさらされやすいこれからの社会において、医療者がヨガセラピストして寄り添える学びを。ヨガティーチャーがヨガセラピストとしても活動できる学びを。これらを実現することで、日本社会においてヨガセラピストという職業が機能し始める土台が作られていくと考えています。


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