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歩みを止めたらそこで終わってしまうから:子供に透析に変わる治療を

胎児の体内で行われている臓器の発生プログラムを活用し、腎臓を再生させることにラットで初めて成功した(が英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ)東京慈恵会医大などのチームを率いる横尾隆医師の講演を拝聴いたしました。

iPS細胞による再生腎臓は尿を生成するなど腎臓の機能を完全に備えているといい、ヒトへの臨床応用に向けて大きく前進しそうだとのことです。

私がヨガメディカル協会を立ち上げる際に視察に訪れた、クリーブランドクリニックで、腎臓透析で入院している患者さんへの小グループヨガクラスを見学させてもらいました。非常に疲れやすく、心にも元気が無くなっている患者さんが抱える問題を、すべて解決できるわけではもちろんありません。
でも、ヨガをしている間は少し気晴らしになり、家族への感謝を思い出す時間になる、とおっしゃっていたのが印象的でした。

今日のご講演で、日本における腎臓透析患者さんたち、そしてご家族、日本の社会にもたらす大きな負荷、中でも生活習慣からくる腎臓病ではない、小児の腎臓病の患者さんたちの理不尽な苦しみについて触れることができ、そのようなスピリチュアルな苦しみに、横尾医師たちの研究がもたらす一筋の希望とともに、ヨガがアメリカのように束の間でも羽を休める場を提供できたら、と思いました。

腎臓病の原因の多くが糖尿病などの生活習慣病であり、それは確かにこのストレス社会では避けられないことなのかもしれませんが、何の罪もない子供達への医療のリソースを確保するためにも、私たち大人は健康な生活習慣を心がける必要があるのではないかと感じました。

透析患者さんにとって透析は命を救うものです。
しかし、その一方で副作用としてQOLの低下が避けられません。
透析に変わる次世代の治療法の必要性は、日本の医療経済にも大きな影響を与える課題です。

iPS細胞について、山中教授が発表した2007年11月19日、その翌日にブッシュ大統領、そして22日にローマ法王が国際的な声明を発信したことの意義から、現状の腎臓病患者さんが抱える問題まで、包括的な説明に、全く知識がゼロの私も要点を理解できた横尾医師の説明力にも大変驚きました。

想像がつかないと思いますが、私は子供のころ肺炎で入院し、少しさみしい思いをしながら、看護婦さんにたくさん遊んでいただき、兄弟のいない私にとって、入院中に遊んだ友達との心の絆が漠然と記憶に残っています。

今はできませんが、病棟の長い廊下の端っこにチョロQを持っていき、キコキコタイヤを巻いて病棟をつっきらせるといういたずらをともに仕掛けた男の子は確か腎臓病だったような記憶があります。お互いフラフラしながら精一杯病院で遊び、私の方が先に退院をしてしまいましたが、生きてきっと会えると今でも記憶の中で生きています。もしかしたらあの子も、あの後透析治療を抱えて生きていったのでしょうか。

その大変さのリアルは、恥ずかしながら今日、初めて理解できたように思います。
生きていてほしい、と思いながらも、透析をしながら生き続けることの大変さをも知りました。

横尾先生は、腎臓透析がない世界を目指して、今も研究を続けられています。
http://www.bios-co.jp
NHKジャーナル 医療健康 夢が現実に?腎臓の再生
報告 横尾隆さん(東京慈恵会医科大学教授)
http://www4.nhk.or.jp/nhkjournal/

それはもしかして、まだまだ果てしない道のりなのかもしれませんが
歩みを止めたらそこで終わってしまうから
という言葉に先生の覚悟を感じました。

そして、先生が救いたいのはまさに、物心ついた時から透析治療でアイスクリームも食べられない小児の患者さんで、その子達に新しい治療、新しい人生をもたらすために諦めずに頑張っていらっしゃるとのことでした。

色々心折れそうなことが続き、投げ出したい時もありますが、そんな時こそ
繰り返しになりますが、
歩みを止めたらそこで終わってしまう
こと、そして先生の背中を拝みながら私も頑張らないと、と
初心に返らせていただける本日のご講演でした。


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