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ヨガクラスという選択〜トラウマで脳に傷

トラウマについての学びを通じ、衝撃的な事実を知りました。

簡単に述べると、子供の脳は2歳まで左脳が働きを開始しておらず、体の感覚を通じ右脳で記憶しているということです。もっと詳しく知りたい方は、こちらのサイトが大変勉強になります。

私の息子は、生まれつき右肩に痣(単純性血管腫)があります。その痣を治療させようと、生後3ヶ月から、全身麻酔の手術治療に取り組みました。入院に付き添い、できることはしたつもりでいましたが、当の本人にとって、どのような記憶が植え付けられたかは知る術がありません。ただ、あの時の私達夫婦には、そのような判断しかできませんでした。

しかしそうなると、私が東日本大震災の後に米国のヨガセラピーのカンファレンスでトラウマとヨガについて学んだ時、時を近くして911を経験していたアメリカ人の先生がおっしゃった「トラウマは、いつでも、誰にでも」という言葉はまさに的を射ていたということになります。

私たちは理想的な人生を送りたいと思っても、0-2歳の間に完全な愛着を得られることはなく、親の意図しないところで様々なトラウマが記憶されているということです。そして、どんなことがその子にとってのトラウマになるかもわかりません。意図したところで記憶される恐怖からはもちろん守ってあげなくてはなりません。また、左脳やエピソード記憶が機能するようになってからの出来事によるトラウマという問題はもちろん存在します。

脳に傷を負うほどのトラウマや、事故などで脳に損傷を受けた人たちが、優しいヨガを選び始めている、というニュースが米国で紹介されています。(下記のリンクでご覧いただけます)

https://www.newschannel5.com/news/gentle-yoga-class-is-helping-nashvillians-with-traumatic-brain-injuries?fbclid=IwAR17dHN5uvF18lUcdixhihcIR53yD-aztNtUhOP7zHXHKpQyzzqR3k1ko_k

このニュースを見て思うことがあります。

私たちにはたくさんの取り返しのつかないことがあります。忘れたいこと、後悔、消したい記憶に押しつぶされそうになります。なぜだかわからないけど、時々湧き上がってくる感情と闘うこともあります。

だけど、私がヨガが持つ力だと信じているのは、神経の可塑性です。記憶は蓄積され、神経は癖付けされるけれども、新しい経験で、新しい記憶、新しい経路が癖付けされていく可能性はまだある、ということです。そのためには、言葉で物語を変えようとするのではなく、自分の身体に新しい経験をさせることです。気持ちいい。大切にされている。守られている。自由である。

ヨガはそんな経験をさせてくれます。しかも、おそらく人々が思っているより、手軽にです。ヨガとは、自分を大切にするという経験です。そして、頭だけではなく、身体を使って感じるところに意味があると思っています。

テレビではポーズをとるヨガが行われていますが、穏やかな呼吸をしながら身体を休ませるリストラティブヨガも、身体にはとてもいい経験になると思います。

苦しみの正体がわからず、このページに行き着いた方で、ヨガを試してみようかな、という方がいると幸いです。

息子は9歳になりますが、守ってやれなくて申し訳ないという気持ちを抱きながらも、今できることをと思い、毎日抱きしめなで続けています。恐怖の記憶が、愛されていたという記憶に変わることを願いながら。でももしかしたらそれは、息子のためではなく私が自分のためにしていることなのかもしれません。人間が取る行動は、考えれば考えるほどわからなくなってきます。


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