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もっと早く教えて欲しかった:育児の現実

母親とヨガに関する調べ物をしながら、日本看護科学会誌に掲載されている「乳幼児を養育する母親のしつけと虐待の境界の様相」
(細坂 泰子, 茅島 江子)という研究論文を読みました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jans/37/0/37_37001/_html/-char/ja

なぜ社会は子供の虐待や母親の支援を問題にしながら、このような研究が学際の中に収められているのか、と疑問に思いました。

下記、読みながら「あるある」と感じたキーワードをご紹介します。文脈を読み誤らないためにも上記原著をご参照いただくことをお勧めします。

母親が感情的になると無意識に押し付けてしまう 子どもへのパワー

理想の母親像や母親としての責任感から蓄積する疲弊

母親は自 分の感情のコントロールが効かなくなった時に感情優 位となり,余裕のなさからくるネガティブな感情によっ て,しつけと虐待の境界に陥ることが多いと知覚して いた

親 が持つ子どもに対するパワーを知覚しつつ,時に威圧 的に行動してしまう一面を持つことを知覚していた

子どもへのしつけが自分自身の評価とつながると 感じ,他者の評価を気にするあまりに子どものためで はなく自分のために行う

母親は勤労状況や置か れている環境に関わらず,子どもの食生活の管理も含 め,家事や育児は母親が行うべきであると感じていた. それらをこなしてこそ母親としての存在意義を認めら れる《理想の母親であるベしという承認欲求》を知覚 していた.

母親はたとえ仕事などの正当な理由であっても,母親 の都合で《子どもを預けることへの罪悪感》をより敏 感に知覚していた.

経済的安定,時間的余裕,周囲のサポート力があるこ とで心の余裕を生みだしていた.特に夫のサポートは 有用だったが,期待していたサポートが不足した場合 にむしろ敵意を持つこと

考察として

母親個 人も尊重されうる支援が求められる(A) 

育児中に子どもから離れる時間を持つこと, 疲労が蓄積しない睡眠時間を確保することは母親に とって支援になりうると考えられた.(B) 

母親が感情をコントロールする 方法を知識として提供することである(C) 

具体的な支援策のみで実践的活用の検証ができていない.(D) 

ということが挙げられていました。

(A) についてはヨガで自分と向き合う時間を確保できれば、不完全な自分をも許し認め受け入れるきっかけを作ってあげられるのではないでしょうか。

(B) については、短時間で良いから子供を預かってもらえ、軽く身体を動かし緊張を解いた後に、何もかも忘れて仰向けになれたら支援になるのではないかと考えます。

(C) 育児が大変なのは肉体的にだと思っていたが、一番辛いのは精神的にであるというとても大切なことを、なぜ知りえる機会がなかったのであろうか。多くが自ら経験してからママ友たちと苦しみを投げかけ合うが、事前にこのような現実を学ぶ機会があったとしたら衝撃の度合いや、父親が受けるダメージも全く異なるのではないでしょうか。

(D) そうはいっても育児を支援する環境を変えていくのは簡単ではない。変えられるのは自分の気持ちの持ちようや行動だと考えれば、自らがあらかじめこの問題点を知り、ストレスマネジメント、積極的休養という行動変容を起こせるような仕組みづくり、それに乗っかることのできるムーブメントを作っていくことが大切ではないか、と思います。

母親は苦しい。自分の時間がない。自分にお金や時間を使うことに罪悪感が出てくる。自分ができないことにばかり目が行き、自己肯定感が下がる。寝不足で疲れる。怒れば鬼呼ばわりされる。そんなお母さんたちに呼びかけたい。

子供を見ていてあげるから、ヨガ教室にいらっしゃい。

何も考えないで、自分のことだけ考えて、生きているから子供を守れているのだと、自分の息・命あることに感謝して。筋肉の緊張を解いて、完全も不完全も、良いも悪いも人が決めたことであることを思い出して。そのままの自分を認めて、許して、受け入れて、仰向けになって視点を変える。ヨガ教室はそんな場所ですよ。

自分の娘がお母さんになるころまでに、必ずやそんな環境を作りたいと思っています。

自分を責めてばかりいるお母さん、ぜひ原著論文に目を通して見てください。自分だけではない、ということが良くわかります。


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