Life Style Medicine (ライフスタイル医学)の研究会に参加しました。
Life Style Medicineとは「生活習慣病、非感染性疾患(NCD)を早期に予防・軽減するための科学的アプローチで、既存の医療を補完するもの」と定義されています。( Japan Society of Lifestyle Medicine )
医療において、生物学的なところも大切だけど、それ以外のところ(心理、社会)も大切であるという考え方が、広まってきているということです。
ライフスタイル医学への関心の高まりは、生活習慣病、NCD (非感染性疾患)による死亡率の高さに関係しています。アメリカでも前大統領夫人であるミシェルオバマ氏が、子供の肥満予防に向けたキャンペーンを行なっています。
WHOの2018年の報告によると、アメリカでは死亡の81%が非感染性疾患、イギリスでは88%、日本では82%、全世界平均では71%と言われています。国連は2030年までにNCDによる死亡を1/3にするという目標を立てています。
高所得国においては、ライフスタイルの選択の誤りが主な原因ですが、低所得国では与えられた環境によって選択が狭められてしまっている現状があります。また、日本のライフスタイルは、当然のことですが西欧諸国のそれとはかなり異なっており、日本型のライフスタイル医学の指針を打ち立てる必要があるそうです。
一般的に、NCD増加の要員としては次の3つが挙げられています。
(1) 脂肪の多いエネルギー密度の高い食品の摂取の増加
(2) 都市化や交通手段の変化、座りっぱなし(身体を動かさない)形態の仕事の急増
(3) 食生活と身体活動のパターンの変化は、置かれた環境と社会の変化に起因することが多い – 健康、農業、輸送、都市計画、環境、食品加工、流通、マーケティング、教育などの経済セクターにおける開発と支援政策の欠如
西洋医学は、分析、細分化、客観視により発達してきました。ライフスタイル医学は、生活者としての一個人をもっと包括的に捉え、エビデンスに基づき、個別化されたアドバイスを軸にしていきます。そのほか、ライフスタイル医学の特徴として
✔︎ 薬に頼りすぎず、病気の根本的な問題を探す
✔︎ 生活習慣から発生する病気のリスク要因を軽減する
✔︎ 生活習慣から発生する病気や症状に対応するだけでなく、健康促進の役割を担う
✔︎ 医師、医療従事者は、生活習慣改善のためのカウンセリング、運動、栄養に関する教育をほとんど受けていない。ライフスタイル医学はその知識のギャップを埋めてくれる
ということが挙げられています。
ライフスタイル医学会は、容易にアクセスでき、このような考え方、アプローチもあるのか、というような気づきを与えられる情報を今後HPで発信していく予定とのことです。
ヨガや呼吸法もそうですが、シンプルなことでも、健康のためにもっとできることがあるということがもっと信頼感をもって知られ、人々の実践に繋がっていくと良いと思います。
演者の先生の中には、これからはバイオフィードバックやウェアラブルデバイスによって、今後ますます自分の体の状態を一人一人が把握、自覚し、行動できる世の中になっていくであろうとおっしゃっており、これには私も未来のテクノロジーが楽しみになりました。
ひとつ、一生活者からの希望を述べれば、何を食べれば良い、どんな運動をすれば良い、ということのエビデンスひとつ一つを個別に見るのではなく、よく動き、美味しく食べ、人との関わりを楽しみ、感謝して眠り、自分のストレスと上手に付き合う、タバコやお酒はほどほどに、ということが全体的につながっていることがもっと強調されていくと、ケースバイケースだけでなく、公衆衛生において多くの人の健康につながる指針となるのではと感じました。