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クリーブランドクリニックのヨガプロジェクト

米国でのヨガセラピスト研究会の会場にて、会うたびに息子を抱きしめてくれる Mrs. Judi Bar.
おんぶひもで息子を背負って授業を聞いていた私を何かと気遣ってくれた、心の恩人です。
ヨガプログラムマネージャーとして彼女がクリーブランドクリニックで実現した、従業員と患者さん向けのヨガプロジェクトについてご紹介します。そして、来週(2013年10月1日)から私も都内の病院で従業員の福利厚生のためのヨガを教えることになりました。
この事例のように一週間で54クラス、臨床への導入、というのは長い道のりと思いますが、彼女の背中を見て頑張りたいと思います。今度会ったときに、Judiに少しでもいい報告ができますように!

Judi Bar

クリーブランドクリニックでの経緯

1995- 1996年: ヨガという概念が研究所に持ち込まれる
2002年: 統合医療センター開設 (CIM)
2005年: 統合医療センターで、慢性痛の患者さん向けのヨガ
2006年: 従業員、患者さん向けのヨガクラス(4クラス)開設
2007年: WELLNESS INSTITUTE ESTABLISHED
2008年: 4-6人のヨガインストラクターを雇い、従業員向けの無料ヨガクラス(15クラス)開設。ヨガセラピストのもと、ライフスタイル180°プログラム

2009年:ヨガセラピストが正式に雇われる
2010年: 6-8名のヨガインストラクターが雇われ, 30クラス
2011年: 8-10名のヨガインストラクター、4名のヨガセラピストがが雇われる。ライフスタイルメディスンセンターに、一人のフルタイムのヨガセラピストが雇われる。
2012年: 12-15名のヨガインストラクターが雇われ, 一週間に55-60クラスが開かれる。看護婦さん向けのパイロットクラス開始。
2013年: 肺、肝臓移植、心臓、肺機能リハビリテーション、リュウマチ、神経科にヨガが正式にプログラムとして採用される。

ミッション

ヨガがもたらす恩恵をまだ実感できていない人々に向け、わかりやすくヨガの本質を伝えていくこと。
お医者さん、看護婦さん、患者さん、従業員、誰でもできるヨガであること。

ヨガマネージャーの役割

(1) 患者、従業員、そしてその家族向けのヨガプログラムをデザインし、ヨガと医療の研究もサポートする。
(2) ヨガセラピーという概念をクリーブランドクリニックに持ち込み、オープンドアで参加者との関係を育みながら発展させる。
(3) 新たな道を切り開く:職務記述書、肩書きづくり、給与体系の制定

病院職員のための福利厚生プログラム

900名の従業員が参加
12-15名のヨガインストラクターが雇われ(ほとんどが全米ヨガアライアンス200時間)一週間に約60のクラスが開講。
4つのレベルにわかれ、一クラス45分
従業員の働く姿勢にどういう影響があるか、実験中

よりよい看護のためのヨガプログラム

心身共に過酷な労働環境
ゴール:ストレスを緩和し、セルフケアを動機づける
心肺センターでの看護婦さん向けパイロットスタディ:ヨガを患者さんに
看護婦さん向けオンラインヨガ講座

病院職員向けヨガのハードル

  • ヨガへの偏見
    十分な時間がとれないため、職場の近くでやってほしい
    着替えをしたくない
    普段から運動不足だし、腰も痛い
    上司がヨガにいかせてくれない
  • 従業員の福利厚生

  • 病院で働くスタッフが、お金をかけずに自分の一日をより清々しく、患者さんにもいいサービスができる方法のひとつとしてヨガを学ぶ機会を持つこと
    ヨガがストレス緩和にいかに役立ったかというアンケートを続けている
    「あなたにもできるヨガ」どんな体型、運動能力のひとでも道具や補助なく安全にできるヨガプログラム
    ヨガに近づいてもらうのではなく、ヨガを参加者に近づける。
  • 患者さん向けヨガ

    ライフスタイルメディスン:ヨガをライフスタイルを変えられるわかりやすいプログラムのひとつとして提案
    痛み、ストレス、可動域の制約を改善したいという患者さんの希望に応えられるようなプログラムを創成
    ヨガに興味があるメディカルスタッフや病院のお偉いさんが誰なのかがわかるようにする

    【現在進行中のプログラム】

  • 肺、肝臓移植
    心肺リハビリ
    神経学、心理学、リュウマチ
    消化器、がん
  • などの診療科

    患者さん向けヨガのハードル

  • ヨガへの偏見
    日頃から運動不足 体形が気になる 整形外科上の問題を抱えている
    関節の可動域の制約
    なかなか時間をとれない
    保険非適応、参加費の問題
  • 健康研究所でのヨガに関する研究

  • ヨガによる過度な肥満の体重コントロール
    オンラインヨガ講座は看護婦さんのストレスを減らせるか?
    ヨガは多発性硬化症の歩行やバランス感覚を改善できるか
    心肺リハビリ、肝臓、肺移植センターでのデータ収集の継続
    臨床研究のさらなる分析
  • クリーブランドクリニックスタイルのヨガ

  • 従業員:「あなたのためのヨガクラスです」いつでも誰でも歓迎します。
    慢性病に悩む患者さん:ヨガセラピーの可能性
    複雑な伝統的なヨガをシンプルにし、こころとからだ、そして魂の救いになるようなヨガのかたちで提供
    慢性病の予防と改善にフォーカスし、継続可能なプログラムを工夫
  • クリーブランドクリニックの患者さん向けヨガセラピー

    慢性病は緩和できる
    ヨガなんて思いもつかなかった人に、ヨガをやってみる機会を提供
    ヨガを理解しやすく教えること(普段私たちが使っている言葉遣いで教えること、健康への効果をわかりやすく説明する)

     

    患者さんたちが自分自身の活きる力を再発見できるよう、あたたかく迎え入れるクラス

    • 50分のクラス
      慢性病や動きに制約のある16名の参加者
      心理的なチャレンジを根気づよくサポート
      ヨガセラピスト一人が常駐
      からだの気持ちよさ、行動改善、ストレス緩和、心の支え、の各側面にフォーカスしたクラスづくり(下記参照)

     
    (1)身体の気持ちよさを考える

    • ヨガのポーズで始める姿勢の改善
      自分の身体を自分のものとして再び感じられる
      マインドフルネスの誘導「自分の身体を今どんな風に感じますか?

     (2)行動改善を考える

    • マインドフルネスを学ぶ
      自分の悪しき生活習慣(サンスカーラ)に気づき、それを変えていく
      セルフケアの意識を高める
      自他への評価、判断、比較、期待はヨガをしている間はお休み
      こう考えることで私の感情はどんな影響を受けた?と自分に問いかけてみる

     
    (3)ストレス緩和を考える

    • 心と身体の関連を知り、ストレス緩和の手段を増やす
      ヨガを習慣にする工夫
      ストレスが減り、生活の質が向上する実感

     
    (4)心の支えを考える

    • 感謝の機会をとにかく増やす
      自分を大切にし、自分を許すことを覚える
      今いる場所、今この瞬間を大切にする

     

    専任ヨガセラピースタッフの配置

    • 信頼のおけるヨガセラピスト
      採用にあたってはIAYTの基準に準拠
      全米ヨガアライアンス500時間
      医療用語、疾病にに精通していること
      慢性病のサポートに5年以上の経験
      プロとして、そして心あたたかい人間として臨機応変に対応できる能力
      ヨガが好きであること
      自分らしいヨガを生きていること

     

    未来への計画

    • 従業員のヨガプログラムの更なる充実
      様々な疾病に対応したヨガプログラムの策定
      ヨガ研究の結果報告:他の研究所との協業
      時代を牽引する

     

    資金計画(従業員向けヨガ)

    • 従業員のヨガはクリーブランドクリニックヘルスシステムによって資金提供された
      従業員の健康向上によるヘルスケアコストの削減が目標

     

    資金計画(患者さん向けヨガ)

    保険ではヨガをカバーできないため、患者さんの自腹
    補完代替医療を保険でカバーできるための、科学的なロビー活動が必要
    患者さん向けヨガセラピーを付加価値オプションとしてカバーしている保険もある
    コスト負担軽減のためしっかりした資金戦略が必要とされる


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