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【シリーズ産後うつ-4】休めない女性たち

【疲れすぎているときに限って「大丈夫」】

ストレスが原因となっているメニエール病や多くの精神疾患が、心のバランスシートが崩れてしまっている、つまり「報酬脳が満たされていないからだ」という言い方をすることがあります。
だけど、母親になるということは報酬脳が枯渇してしまうことを意味するのでしょうか。なんで主人は前と何も変わらず働き続けることができるのに私は仕事や自己実現を我慢しなくてはならないの?そういう気持ちもあるかもしれません。だけど、多くの母親はこう言います。いいえ、子供達の笑顔から、寝顔から、きっとたくさんの元気をもらっています。仕事と引き換えに得られたものもたくさんあります。だけど・・
報酬脳のメカニズムだけでは片付かない何かが問題として残っているのです。
リフレッシュのために、ヘアサロンに行く時間を作ったらいい?ネイルサロンに行ったらいい?お友達と思う存分ランチでお喋りできたら?もちろんそのどれもが、自己肯定感を取り戻すのに一役かうと思います。だけど、それでも満たされないもの。それは積もり積もった慢性疲労、そして自己肯定感の低下なのです。それは、休息して充足しない限り、回復しないのです。

それなのにずっと続いている不毛なかけひきとは。
僕の頑張りが足りないからだね。あなたの頑張りが足りないのよ。
ありのままを認めることなく、自分に、相手に「もっともっと」を要求してしまう。
だけど、状況の解決にはどちらが現実的なのか。
足りない頑張りを責めることよりも、ピリピリと過敏になっている妻の心をなだめ、ぐっすり眠らせて、回復させてあげることができるとしたら。

産後の女性は明らかに疲れているのです。
本人が「大丈夫大丈夫」というほど、氣付いていないほど疲れています。どれだけ疲れているかというと、夜中の授乳。授乳による貧血。女性ホルモンの抑制。命を守るという自己防衛反応。肩こり。絶え間ない緊張。疲れ過ぎると人はどうなるか。逆に弱音を吐くこと、甘えることができなくなるようです。
授乳中はオキシトシンが出て、かわいい子供の寝顔を見たら疲れが吹き飛ぶのでしょうか。いいえ、癒しにはなりますが、蓄積した疲れはそんなに簡単には吹き飛びません。

残酷なようですが、産後2年間、女性の疲労は子育てが落ち着くまで続くのです。
それを女性が一人で背負うのか、夫婦で向き合うのか。

私たちは、義務教育の過程において、整理や生殖について学ぶ機会はあれど、生理に伴うPMSなどの不定愁訴、婦人科系の疾病、不妊や産後鬱、更年期について情報を得る機会はほとんどありませんでした。恐らく今の子供たちもそうなのではないかと思います。キャリア形成について学ぶことはあっても、卵子の老化や出産を含めたライフプランニングについて学ぶ機会も限られています。結果、核家族化が進んだ社会において、母親はいきなり母親になり、大海に投げ出されます。しんどい現実があっても、社会が母親あるいは健やかな母性を守る仕組みが作られていません。

アメリカにはドゥーラという仕組みがあり、産前産後のお母さんに寄り添い、支える職業がプロとして成り立っています。産後の女性に一人一人ドゥーラが付いてくれるほどのサポートがあれば、たとえ男性が女性のホルモンに対する理解がないとしても、お母さんはやっていけるかもしれません。だけど、実際その理解はほとんどないと言っても過言ではありません。女性にとって男性が落ち着いている理由がわからないのと同じように、男性は女性がどうしてこんなに精神的に不安定になるのかを理解できないのです。産後の女性にとって、ホルモンによる情緒不安定だけが問題ではありません。絶え間ない疲労と緊張が続いています。

産後うつ、産後クライシスにとって必要なのは、心療内科や薬による対処ではありません。

泣き寝入りでもありません。
理解のための啓蒙と休息ケアです。

問題は、産後鬱、産後クライシス、の定義がなく、定義がないため統計もなく、臨床によって証明された具体的な対策も存在しないということです。
個々人の問題として、仕方がない、そういう状況があるということを理解して、個別対応をしてください、で片付けられてしまっていることです。

現段階では手付かずにされているこの二つを両親学級に組み込んでいくことは決して無理なことではないと思います。

シリーズ産後うつ-5に続く)

 


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