岡部も悩んでいた!
以前から持っていた問題意識として、日本の育児における最大の問題点は、お母さんが疲れていることではないか、というものがありました。
そのため、下記のようなコラムを書きました。今読み直すと、ほとんど恨み節です。
この問題意識を客観的な研究に落とし込み、社会の実践を促したいと、医療機関にてご指導をいただきながら研究計画書を作成しています。
先行研究を調べている上で、事例研究としてわかりやすくまとめているものがありましたのでご紹介いたします。お母さんを支援したいと考えているヨガセラピストの皆様、ぜひ論文に目を通してみてください。
お母さんは体が疲れている!
子育て困難感と身体症状を訴える母親の支援―子育て相談の領域から―
狩野真理*/東 豊** (龍谷大学文学研究科)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpm/59/4/59_345/_pdf/-char/ja
お母さんは自分の時間がない!
育児期のライフステージからみた母親のメンタルヘルス ―夫婦ペアデータによる検討―
狩野 真理
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/23/2/23_123/_pdf/-char/en
小学校に上がる前が正念場!
家族ライフサイクルからみた就学前の 子どもをもつ夫婦に関する臨床心理学的研究
-システムズアプローチの観点からの子育て支援-
http://opac.ryukoku.ac.jp/webopac/dk_236_001._?key=RZDWWI#search=%27家族ライフサイクルからみた%27
運動支援の可能性
運動支援の可能性について、明快に説明されている博士論文です。
https://gair.media.gunma-u.ac.jp/dspace/bitstream/10087/11870/2/博士論文(山西加織).pdf
貴重で優れた研究であることが論文審査の要旨にも記載されています。
https://www.takasaki-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/6d9a649f391dfe383e53d503b91fed14.pdf
ヨガセラピストが担える役割
ヨガセラピストが地元のお母さんたちに提供できるのは、緊張を解く時間と空間の提供です。
狩野氏の論文(育児期のライフステージからみた母親のメンタルヘルス)より一部引用させていただきます。
乳幼 児を持つ母親を対象とした様々な育児支援サポー ト事業が展開されプログラムが開発されてい るものの,複数回にわたるこのような支援プログ ラムに参加できる人は,経済状況に余裕があり夫 からのサポートもあり,積極性や活動性もある外 的・内的資源に恵まれた女性が利用しているとい う報告もある.そのため,出産前健診,母親教 室,乳幼児健診や保育園・幼稚園,小中高の PTA 活動など,一般的な参加者が見込まれる場 面で,簡便なリラクゼーション法の伝達やリフ レッシュする時間の重要性などについての子育て 講座やお便りを用いた啓発活動といった予防的取 り組みが必要になってくると思われる.また,地 域の子育て支援センターでの託児付き講座や一時保育などのサービスに関する情報提供も同時に行うことも必要であると思われる.しかし,乳幼児期は母親が子育てするのが子どもにとって最善だとする周囲の暗黙のプレッシャーにより ,ひとりの時間が欲しいと思いつつも,社会の視線や子 どもを置いてまでひとりで過ごすことへの罪悪感 から,積極的な行動に出ることができない場合も 多い.そのため,子育て中であっても母親がひと りの時間やリフレッシュ行動をとることは,母親 のメンタルヘルス向上につながり,その結果,子 どもや夫へも良い影響を及ぼすことも伝えると いった心理教育も同時に行う必要性があると考えられる.
しかし、私たちはこのような分析をもとに、母親の大半が
- 自分の時間を取れないこと
- 自信を失っていること
- 緊張が続くあまり、心身症状を抱えていること
ということを理解し、民間サービスとしての受け皿を充実していくことができるのではないかと考えています。
すでにバイオサイコソーシャルアプローチの一環としての健康効果が研究されています。
https://www.degruyter.com/view/j/jcim.2009.6.1/jcim.2009.6.1.1183/jcim.2009.6.1.1183.xml
昨今のコロナ騒ぎで、なかなか人が集まる場所での開催は当面難しいのかもしれませんが、お母さんがオンラインを見る時間を増やすのではなく、ヨガの本質を理解し、自分を見つめる時間に充てられるような流れを作れないものかと考えています。