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補完代替医療 アメリカの取り組み

高まる補完代替医療分野への期待

米国では、国民医療費の高騰に伴い、「政府機関や保険会社が有効性・安全性を認めた補完代替医療」は、健康保険の対象とされるようになりました。
これには、ひとつの原因だけでは発症しない慢性病などに対して、生活習慣など「全体的・全人的」にアプローチする補完代替医療のほうが、「原因撲滅型・対症療法型」の現代西洋医学より効果があるのではないか、という考え方が背景にあります。

また、統合医療は、患者に最良の恩恵を与える医療の可能性を目標とし、現代西洋医学のシステム・方法論だけでなく、それ以外の医療システム、東洋医学をも含め、さまざまな相補・代替医療( Complementary and Alternative Medicine:略してCAM )のシステムや療法を積極的に取り入れ、統合的な治療・ケアをする医療のことです。

全米の90%を超える大学医学校が、卒業後の課外講座として、CAMや統合医療についての講座を開設しています。さらに、米国では、国立衛生研究所(NIH)に国立相補・代替医療センター(NCCAM)が設立され、150億円を超える研究予算を使用し、相補・代替医療( CAM )について科学的な研究を行いながら、情報発信に取り組んでいます。
米国では国民の3分の1がオルタナティブ・メディスンを受けており、それにかける費用は年間で300億ドル超と言われています。

生活の質を高めるという治療

CAMの特徴は疾病の治療・改善にではなくQOL (生活の質)の向上に主眼を置いている点にありますが、 これまでのように高い薬を使わなくてもクオリティ・オブ・ライフは向上できることに人々が気づき始めたわけです。
しかしながら、オルタナティブ・メディスンが全て安全で信頼がおけるというわけではありません。民間療法の中には古来からの伝承や迷信に基づいたものも多々あり、信頼の置ける療法をどうやって普及させていくのかという問題があります。
そこでCAMの各分野が取り組んでいるのがEBM(Evidenced Based Medicine) という手法です。EBMの厳密な定義は割愛させていただきますが、Yoga as Medicine の分野について言えば、検証結果を重んじると共に現場をおろそかにしない研究姿勢ということになります。

CAM 代替医療としてのヨガに対する評価

今日、アメリカのNIACM ( 国家代替補完医療研究機関)の2008年の予算は121百万ドル(約121億円)と言われています。このうちヨガの占める割合は明らかにされていませんが、2007年のNIH(国家保健機構)の調査によると、ヨガが代替医療としてアメリカ人に使われるメソッドとしてトップ10に入り、1300万人もの成人が2006年にヨガを代替医療として活用していると言われています。また、同じく2007年の調査によると、150万人の子供たちが、2006年にヨガを代替医療として活用していると言われています。

ヨガを練習している人で全般的に健康状態が改善された人は49.4%(2003年の調査では5.6%)。健康状態の改善のためにヨガを行っている人は52%(2003年の調査5.2%)。14百万人(6%) のアメリカ人が、医師やセラピストにヨガを奨められたと答えています。加え、45%のアメリカ成人が、ヨガは適切な治療目的で用いられれば、健康状態の改善に有益だろう、と答えていいます。

第一線の医師や学者が中心の勉強会

米国ではIAYT(International Association of Yoga Therapist ) という団体が中心となり、ヨガの科学的検証と研究を地道に行っています。私自身も現在こちらに所属し、勉強を続けております。実はこの団体の発足と共にアメリカでは「ヨガ・セラピー」という概念が産まれたのです。ヨガが人々の健康問題の解決に役立つかもしれない、という仮説を検証するには従来の伝統的なヨガ全てが当てはまるとは言えません。そこで一人一人の心と身体の状態に合わせ適切な手法を選択できなくてはならないという理念のもと、第一線の医学博士や心理精神学博士などが中心となりヨガの臨床的応用についてのデータを収集、検証し正式な論文として発表する場を設け、代替医療としてのヨガを一つの産業領域にまで育てあげてきました。

また、ヨガセラピーへの期待が高まってくるにつれ、ヨガには実際にどのような効果があるのかをきちんと説明する必要性が求められてきます。それに答えるべく、今も多くの専門家たちが客観的な言葉でヨガセラピーの効果を説明する責任( Accountability ) を果たそうとしています。その一つの現れが、豊富な専門書です。一般人がヨガに対する迷信や不信感をぬぐい去り、ヨガを信じて取り組めるようにするには、これまで一部のヨガの指導者たちが行ってきたような観念的な言葉(チャクラやプラナなど)を中心とした説明では不十分なのです。ごく普通の市民が納得できる言葉で、私たちの生活に現実的に取り入れらそうだと思えるような提案をしていくことが求められています。

残念ながら日本にはまだヨガのこのような形で普及する道筋が整っていません。2010年のYoga as Medicine 日本語版の発刊が日本でもQOLの改善に主眼を置いた治療への関心を高めていってくれることを願ってやみません。そして、ヨガセラピーを学びたいという方々に最先端の動向をお伝えしながら、日本でも補完代替医療としてのヨガを安心して楽しんでいただける環境の構築に取り組んでいきたいと考えています。

IからWeへ

I は Illness (エゴが病気を招き)We は Wellness (協調が健康を招く)

これまで私たちは「I」を主張することばかりに夢中になってきました。他人との競争に勝ち、富を独り占めし、エゴを尊んできたのです。しかし、そのことが私たちを原因不明の病に落とし込んできたとは言えないでしょうか。もし私たちがこれから「I」の代わりに「We」という言葉を使うように心がけ、幸せは分かち合い、辛さも一人で溜め込まず、共に生きる喜びに感謝できるようになれば、自ずと病や苦しみは遠ざかっていくような気がしてなりません。
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